劇場版・鋼の錬金術師 シャンバラを征く者を12年の時を超えてついに視聴しました。
荒川弘先生の傑作中の傑作・全27巻のダークファンタジーを原作とした作品。2017年には実写映画も公開予定と連載終了後も不屈の名作ですね。私も3度ほど原作を読んでいますが何度みても面白い。
ただ!アニメ版は複雑なことになっています。
2003年と2009年にガッツリ1年以上アニメ化しているためシャンバラを征く者の設定はほぼオリジナル。
映画を理解するためにも2003年のアニメ化事情やその設定について第1期(2003年版)のネタバレ要素が多めで紹介したいと思います。(アニメ版を大分前に視聴した上で原作全巻を読んだ人向けです)
2003年版 鋼の錬金術師
エドワードとその弟アルフォンスは、幼き日に亡くなった母親を思うあまり、死んだ人間を蘇らせるという錬金術最大の禁忌、人体錬成を行ってしまう。しかし、錬成は失敗し、エドワードは左足を、アルフォンスは体全てを失う。己の右腕と引き替えに、かろうじて弟の魂を錬成し、鎧に定着させることに成功したが、その代償はあまりにも大きすぎるものであった。
最初に劇場版・鋼の錬金術師 シャンバラを征く者は原作にはない完全オリジナル作品です。これは原作にはない物語という意味ではなく本当にオリジナルなんです。2003年版の続編・アフターストーリーです。
当時の子供だった私は原作との違いにものすごく混乱したのを覚えています。理由は簡単、
原作が終了していない時点でアニメ化した
鋼の錬金術師のアニメは2003年10月に放映が開始しました。その時点で原作コミックスは5巻まで発売して放送時期に待望の6巻が発行されています。
これが今だったら分割アニメ化とかよくありますよね。七つの大罪や進撃の巨人やマギなど原作である部分までをアニメ化して進んだらまた放送する。あろうことか、土曜夕方6時枠にこのアニメは開始しました。その前枠はガンダムSEED。
1年間放送することが決定していました。全51話
放送終了時点で8巻まで発行されるけどどう考えても終わりそうにない。6巻は序盤で修行の過去話やってましたからね。短くとも15巻は絶対続きそうな流れ(実際は全27巻)。ストーリー上、切りの良いところじゃなかったです。
だから完全オリジナルになっています。
むしろあの感じだと原作2~4巻ぐらいでアニメ化の計画が出ていたんじゃないかぐらいの勢いです。
ざっくりと原作と違うところ
この部分が大きく違ったなぁというか、劇場版で思い出しておきたかった部分について。
錬金術と門の関係性
等価交換を原則としている錬金術ですが、人体練成などを行うと真理の扉に到達していましたよね。
明確にその先に何があるかについて原作でははっきりと表現されていませんでしたが、アニメ版では物語世界と現実世界の接点になっています。
その関係はパラレルワールドという扱いをされています。また、現実世界の亡くなった人の魂が錬金術のパワーです。
真理を手に入れる中の空間の存在はほぼ同じですが、アニメでは明確に門の向こう側が設定されています。
ホムンクルス
原作ではまだ七つの大罪のキャラクターが登場していなかったのでそれぞれ異なります。
大罪 | 原作 | アニメ版 |
---|---|---|
ラスト・色欲 | 同 | 同 |
グラトニー・暴食 | 同 | 同 |
エンヴィー・嫉妬 | 同 | ホーエンハイムとダンテの息子 |
グリード・強欲 | 最終的にリンに乗り移った | ダンテに恋心を抱いていた人間 |
スロウス・怠惰 | 巨体・穴掘り専門家 | エルリック兄弟の母であるトリシャ |
プライド・傲慢 | セリム・ブラッドレイ | キング・ブラッドレイ |
ラース・憤怒 | キング・ブラッドレイ | イズミの子供 |
大まかに言えばこれくらい違います。キング・ブラッドレイのキャラ自体が異なっています。ちなみにアニメ版のラースはちっちゃいエンヴィーぽい風貌でエドワード・エルリックのようにオートメイルを装着しています。
ラスボスはダンテ
原作ではフラスコの中の小人(ホムンクルス)偶然生まれた存在。
ダンテはイズミの師匠で全ての元凶・ホムンクルスもダンテが生み出しました。
よりダークな物語
かなりメッセージ性の強い作品になっています。ガンダム枠は社会派な作品多かったのもあるのだと思います。
最終回前後
自身が賢者の石だと明らかになったアルフォンスは亡くなってしまったエドワードの肉体を蘇らせる事に成功した。旅の記憶を代償にエドワードは10歳の肉体のアルフォンスを練成した。また、その練成の影響でエドワードは現実世界のドイツ(1921年)にいた。
最後にエドワードは元の世界に戻るためにロケット工学を学ぶことを決めた。
ホーエンハイムとエンヴィーもドイツにいる。
その2年後がシャンバラを征く者のストーリーです。
2003年版の感想
私は結構好きです。原作とは違う作品としてダークで完全なハッピーエンドじゃないけどスッキリとした終わり方をしていて良かったです。
アジカンが凄い流行ったなぁ。
シャンバラを征く者
長々と2003年版について紹介したのは色々気になったところがあったからです。アニメ版をしっかり見ていればわかるけど原作のみだと難しいです
・エドワードが現実世界のドイツ・ミューヘン1923年にいた(扉の向こうは現実世界だった)
・ちっちゃいエンヴィーがいた(実際はラース)
・現実世界にエンヴィーがいた。(エンヴィーはホーエンハイムがいる場所に行きたかったから。)
・マスタング大佐が伍長になってた(最終回でキング・ブラッドレイを倒したことが理由)
・社会派なストーリーだった。(ガンダム枠だったから)
・アルフォンス・ハイデリヒの声が変(小栗旬)
感想
この映画を単体として考えると評価が分かれる。疑問が6個も出てきてますからね。原作とは全然違うじゃないか!といわれる可能性もあるかも。
作画もよかったし、ストーリーもうまく伏線張りつつ歴史背景と照らし合わせて、そういう話を知っている私にはかなり面白かったです。
中には報われないキャラクターや考え方によっては微妙な感じになった人もいました。ホーエンハイムに関してはもう400年以上生きています。息子のためにああいう行動をしたんだと理解はできました。ホムンクルスにはホムンクルスの苦悩もあったろうに・・・
まとめ
元々12年ぶりに観たのはプライムビデオで配信されてたからなんですよね。(多分実写映画のタイアップ?)いつ配信終了になるかわからないですけど。
2003年版のアニメも配信されてます。ちょこちょこ見直しているので全話視聴したら感想を書きたいと思います!