美しい身体表現と精密な技術による熱く情熱的な演技が繰り広げられるダンス。
漫画のテーマとしては地味にみえるがその爆発的な面白さは2巻まで読んだらドはまりすること間違いなし。
それはダンスというテーマが実は圧倒的な王道であるからゆえです。
一言でダンスといっても全く方向性が違う社交ダンスのボールルームへようこそとクラシックバレエなどのダンス・ダンス・ダンスールを紹介します。
社交ダンスの世界・ボールルームへようこそ
俊英が贈るダンススポーツ青春譚、開幕! その一歩(ステップ)で僕は変わる――。平凡な中学生、富士田多々良(ふじた・たたら)は将来の夢も特に無く、無為な日々を過ごしていた。そんなある日、謎のヘルメット男に出会った多々良は訳もわからず連れ去られてしまう。男が向かった先は……何と社交ダンスの教室だった。ダンスの世界に一歩を踏み出した多々良の日常が、みるみる変わり始める――!! 剥き出しの才能が描く“ボーイ・ミーツ・ダンス”!! 踊り手の魂が交錯する舞踏室(ボールルーム)で繰り広げられる、激アツ! ダンスストーリーに酔いしれろ!!
今一番有名なダンス漫画といえばやはりボールルームへようこそだと思います。アニメ化もされている人気漫画。ダンスって面白いじゃんと初めて思った作品です。
主人公の富士田 多々良は無気力で夢も趣味もない中学生。社交ダンスの演技に魅せられてダンスをやりたい!と決意する。シンプルに○○は凄い!僕もやってみたい系王道ですが、少々異なる部分が多いです。
テーマが特殊だから引き込まれる
まず社交ダンスとは漠然とおじさん達がなんとなく踊ってるだけでしょ?と捻くれ者の読者である私が
オッ・・・ちょっと面白そう
とやたらと1話で引き込まれます。ただし、単行本を手に取るまでは芸術性=面白いは疑問を持っている。
熱いストーリーになる理由
社交ダンスは野球やサッカーのような団体競技やテニスや柔道のような個人競技とも異なる性質があります。
それは敵がほぼいないことです。
順位などはあるものの向き合っている相手はかならず自分です。漫画なのでライバルは存在しますが、戦うというよりも尊敬し合う仲間。
いつもストーリーはやるかやらないか。
挫折や問題も自分が中心であり、
色々な悩みがありながら行動して成長する等身大の主人公がかっこ悪さもかっこよさも兼ね備えて好きになります。
実はこの主人公はかなりのウジウジタイプですが、そういう所も含めて良いと思うのは主人公の存在感(が引き出されている)ゆえです。
安定感のあるヒロインとライバル
ダンスという特性上敵がいないため、3パターンの個性豊かなキャラが登場します。
尊敬・憧れ・・・仙石 要
ヒロイン・・・花岡 雫
ライバル・・・兵藤 清春
憧れの対象である仙石はもはやいうまでもないでしょう。ただただかっこいいです。
ヒロインは大前提として社交ダンスが芸術のパフォーマンスなので女性の美しさがこれでもかというほど発揮されます。憧れの存在でもあり、一緒に踊るパートナーとなるための目標。
ライバルはいけ好かないクールなやつ。主人公と対照的な存在。
個性が豊か過ぎて全くキャラかぶりしない。で巻を重ねると高飛車な女の子が出てきます。それまで存在しなかったキャラなので新鮮さが面白さを増大させます。
何故2巻から面白いのか
1巻から抜群に面白いかというと実はそうでもなく、2巻からが傑作です。厳密に言えば1巻の残り30ページから面白いです。
1巻にて、その特殊なテーマのダンスというものの熱いもので素晴らしいものだと脳にガツンと埋め込んできます。その違和感を取り除くまでにかかる時間が1巻です。2話から急にダンスを知った気分させてきます。
個性的なキャラクター達が動き出して、ダンスをもっと知りたくなったら(2巻~)もう止まらないです。
それはボールルームへようこそだけの特殊な魅力かと思いきやジョージ朝倉先生がダンスの奥深さを教えてくれました。
クラシックと現代の融合・ダンス・ダンス・ダンスール
主人公・村尾潤平は中学二年生。 幼い頃にバレエに魅了されるも、父の死をきっかけに「男らしくならねば」とその道を諦める。 バレエへの未練を隠しながら格闘技・ジークンドーを習い、クラスの人気者となった潤平だが、彼の前に、ある日転校生の美少女・五代都が現れる。 母親がバレエスタジオを経営する都に、バレエへの興味を見抜かれ、一緒にやろうよと誘われるが――!? すべてを犠牲にしたものだけが、立つことを許される世界。 重力に逆らい、美しく高く跳ぶものたちよ、 抗いがたきその衝動に、身を捧げよ―― 女性誌界のトップランナー・ジョージ朝倉が描く、 王道のドラマチック・バレエ・ロマン、開幕!!!!!
ジョージ朝倉先生といえばピース オブ ケイクが個人的に好きだけど、一般には溺れるナイフが代表作品です。その掲載雑誌は少女漫画。少女漫画家の描いたダンス漫画・・・と思いきや掲載紙はビッグコミックスピリッツ。バリバリの青年誌に殴りこんだ作品です。
まず痛快なのが、バレエと男らしさです。バレエといえばその美しさから女性を最初にはイメージするかと思います。そのナイーブなテーマに向き合っている所が特徴的です。
クラシカルなダンス
カジュアルなダンスでもなく、社交ダンスでもない海外で芸術面が高いクラシックバレエなどが中心に描かれています。職業としてはバレエダンサー。
この作品の中ではダンサーとしてプロになることが最終的な終着点です。舞台舞踊なので砕けた表現をすると歌舞伎や音楽の世界に似ているような気がします。
少女漫画と青年誌の融合
絵はもちろんのこと、少女漫画らしい作風です。主人公のお父さんは1話で亡くなるし、いじめもあります。バレエをやっていることが恥ずかしいと主人公が思うのもなんとも言えない。
でも、本当に中学生が親の影響もなくバレエを自らはじめたいならこういうのはリアルです。青年誌の泥臭く汚い部分も満載。
踊る楽しさと○○を表現した作品
主人公はバレエと世間体の中で悩みながらも自分が楽しいと思えるバレエに集中していきます。
この漫画の凄いところはただ楽しいって事が本当に正しいかと言う話がされることです。
バレエは歴史も古く格式高い舞台舞踊。自由に踊る楽しさを途中でぶった切ります。
観客の心を沸かせることができても下劣な舞台と酷評されます。何いってんだこのおばはん、と主人公と同じような気持ちになっていましたがストーリーが進むにつれて楽しいだけがバレエじゃないと理解させられます。
視野が広くなっていき成長する姿や中学生からバレエを始める遅さからくる焦りなど等身大の主人公が魅力です。
やはり2巻から面白い
1巻は主人公の人となりやバレエというものの美しさや素晴らしさが中心です。世界観を受け入れるまでボールルームへようこそより時間がかかった作品です。
ダンスのために様々な物を捨てる覚悟を決めて真剣に向き合うのも2巻。
一流となるために環境が変わりまくる3~以降が特に面白いです。
二つの漫画は王道だ
絵の存在感
主人公中心の成長
熱すぎるダンスの世界
圧倒的キャラクター
ダンス・ダンス・ダンスールで紹介するべき内容ほとんどボールルームへようこそで紹介しちゃいました。ヒロインやライバルの圧倒的存在感や途中で出てくる高飛車女の子や主人公の成長など・・・
ダンスは漫画に必要なキャラクターや少年の成長・挫折が全部揃っています。バトル漫画で言うところの刀があれば面白い法則ぐらいヒットの秘訣入ってます。
ちなみにボールルームへようこそは良いところを全面に出していて、ダンス・ダンス・ダンスールは汚いところも出す感じです。どちらも個性的で全然違います。そしてどっちも面白い。
雑記
絵が圧倒的にうまくないとかけなさそう。
雑談ですが、ダンス漫画描くのは大変だろうなぁとひっそり思ってます。キャラクターの感情の起伏大きく、演技は美しさや楽しさを表現できているのが本当に凄いです。
勝利の方程式みたいなテーマだけど画力が求められる作品群ですね。
ではでは!