とある登山家の残した言葉は間違っている。
山の特集やクイズになると毎回のように登場する名言、なぜ山に登るのか・・・そこに山があるから。
実は誤訳だったことをご存知でしょうか。
色々読んでみたら面白かったので書いてみます。偉人(ジョージ・マロリー)の歴史調べるのは楽しいです。
クイズ番組の定番だった言葉
なぜ山・・・
クイズで定番中の定番とも言われる知識問題で、四文字でマロリーと答えるのが常識らしいです。全国高等学校クイズ選手権が毎年夏に放送されるので色々調べていたら高校生クイズのマンガ(ナナマル サンバツ・杉基イクラ)に書いてありました。
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本題ではないので雑にあらすじだけ書いておきます。ちなみに全巻読みましたが面白いです。
確かにクイズでありがちですが厳密に言えば間違っています。正確な言葉にすればなのでクイズ的には問題はなかったりします。
ジョージ・マロリー
この名言を残したと言われるマロリーはイギリスの有名な登山家です。
生まれは今から130年以上前の1886年6月18日。若い頃から登山に造詣が深くモンブラン(アルプス標高4810.9m)を征服するなど登山力は一流でした。あるとき、エベレストに登ることになったのです。名言が出てくるのはもう少し後です。
ちなみに・・・
エベレストは名前
エベレストですがヒマラヤ山脈のひとつです。名前は測量士のジョージ・エベレストさんが元になっています。名称がついたのが1865年で、現代の認識からは考えにくいですが人の名前が地域の名称になるのは一般的だったりもします。アメリカのワシントン D.Cもアメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンから取っています。
当時、世界一高い山と言うこともあって征服するのは各国の地理学会でも目標になっていました。
実際にエベレストがどこにあるか分からない方はインドよりも北(ネパール)と言えばイメージしやすいと思います。中国とまたがっている場所です。
エベレスト遠征
1921年 第1次遠征隊
この第1次エベレスト遠征隊にマロリーが参加することになりました。第1次と言うこともあってルートなども確立はされていないので偵察的な意味合いが強かったようです。
1922年 第2次遠征隊
この遠征隊で世界最高の山を征服しようとしましたが当時の最高到達地点には到達しましたが、標高8850mには届かず。犠牲者も出てしまったことから批判がありました。
ニューヨークタイムズ紙に名言が残る
1923年3月18日の記事にあの名言の英語が載っています。
Why did you want to climb Mount Everest?
なぜ、あなたはエベレストを登りたかったですか?
Because it's there.
それがそこにあるので。
直訳すればこんな感じでしょうか。これが転じて、
なぜ山に登るのか?
そこに山があるから
に変わったようです。
確かに山に登ることには変わりないですが、当時の事情からすれば最も高い山に登ると言う意味なので翻訳としては意味が外R麻呂れているのだとか。しかも、雑誌の言葉なので本当にそうであったのかすらわからない。
この後、1924年に三度目の登山でマロリーは行方不明になってしまいました。そして、1999年に発見された。
当時の時代背景は奥深い
1900年代と言う微妙な時代だったからこその深みのある言葉ですが、このエベレスト遠征は政治的な意味が含まれていたので名言が残った要因でもあります。
詳しく語れないですが、色々な苦労があったようです。マロリーの文献を探せば探すほど名言よりも背景が気になってきます。
マロリーの意図は良く分からない
この名言がどういう意図をしているものかは深く書かれているものは少ない。そもそも雑誌の言葉で本人の映像や著書で残したものでもないからです。
そのためどう解釈するかは自由なのかもしれません。深い意味があるのかもしれませんし、ただ言葉に困ってテキトーに答えただけかもしれません。
日本ではすっかり意図が変わってしまいました。
日本のそこに山があるから
実際は「そこにエベレストがあるから」なのですが、日本人的には
何かをすることに理由なんて必要なのか?好きに理由は必要ない
という意味なのでしょうね。非常にポジティブな解釈かつ何か楽しげです。
ただし、解釈は自由
私はマロリーではないので彼の気持ちを知ることはできませんが、こう読み取りました。
高い壁は壊したくなる
何か難しいことをやる時に非常に高い壁があったとしてもそれをやりたくなる。色々読むと誰もやったことのないことに対しての人間の本質的な欲望的な意味だそうです。
どっちにしても挑戦に理由なんて必要ないって話ですよ。
何かをする時にごちゃごちゃ考えてないで行動したくなる言葉です。
良い言葉ですよ。Because it's there.
まとめ
私はマロリー専門家でもなければ文献をたくさん読んでいるわけではありませんので情報としては薄めです。が、名言に勇気付けられたので書いてみました。迷っていると都合よく名言に頼りたくなります。
マロリーについて詳しく知りたい方は分厚い本が色々出版されています。
石の上にも三年という。 しかし、三年を一年で習得する努力を怠ってはならない。 by 松下幸之助
と言う感じで!お疲れさまです。